スマホの性能は、初期の頃から比べると格段に向上!
スマホが出た当時はフラグシップモデルでもモタツキを感じましたが、2019年にはミドルレンジでもサクサク動きます!
CPUは勿論、GPUやDSPに至るまで桁違いに性能が上がって使い勝手が良くなったスマホですが、パソコンとは異なり個別にCPUなどが搭載されているわけではありません。
というこで、今回はCPUやGPUなどが1つにまとめられている馴染みのない言葉「SoC」についてCPUとの違いと確認方法について徹底解説していきます。
スマホの「SoC」とは?
「SoC」とは、「System-on-a-chip」の略で、スマホやスマートウォッチなどのモバイルデバイス搭載される、CPUやGPU、NPUなどが1つにシステム化チップのことです。
パソコンなどでは、「SoC」ではなく、マザーボードにCPUやGPUなどの各種LSI(large-scale integrated cir-cuitの略で高密度の集積回路のこと)を接続しますが、スマホでは面積や消費電力の制約から1チップ化されています。
そのため、現在の「SoC」はスマホの起動や利用に必要なあらゆるLSIを1つに集約していながら、小型化もしている最先端技術です。
スマホの「SoC」とCPUの違い
「SoC」は一般的に、認知度が低くCPUと括られてしまうことが多いのですが、厳密に言うとCPUと「SoC」では意味合いが異なります。
CPUというのは、「SoC」の中にある集積回路の1つなので「SoC」を構成する集積回路の一部です。
スマホの場合、小さいデバイスで有りながらパワフルな性能を求められるため1チップにCPUを含むGPUやDSPなどの多くの集積回路が「SoC」としてまとめられています。
そのため、スマホの性能は「SoC」の総合的な性能だけでは、ベストな選択が難しいので、「SoC」の一部であるCPUとGPUのベンチマークは切り分けて見るようにしましょう。
- CPU=SoCの一部
- 複数LSIの集積回路
SoC毎の性能が気になる場合は、スマホのベンチマークランキングをご覧く出さいませ!
スマホの「SoC」の歴史
「SoC」がどんなものかわかったところで、なぜ「SoC」が誕生したかというと、単純にモバイルデバイスではサイズの制約上、チップの小型の要求が強かったためです。
モバイルデバイスでは、電力面の制限も厳しくシステムの内部接続で消費電力も抑えられる「SoC」はまさに最適。
また、量産化によるコスト削減効果や遅延が減ることによる高速化などの恩恵もありモバイルデバイスだけでなく様々な製品に活用されて来ています。
intelのCPUもiGPUと呼ばれ1つのチップにまとめられてますから、広義では「SoC」といえるでしょう。
スマホの「SoC」のメリットとデメリット
ここまで良いことだらけの「SoC」ですが、その特性上CPUやGPUなどの多くのLSIを1つのチップに集約するため、半導体の塊となり開発が複雑化します。
そのため、しっかりとした、設計開発のノウハウがないと開発が長期化したり失敗したりと経営的には大きなリスクも伴う点が大きなデメリットです。
また、開発難易度の高さから小ロットでの生産には向かず、スマホなどの量産が期待できる分野に向いているといえるでしょう。
その他にはデメリットを補う複数のLSIをパッケージにまとめたSiP(system in a package)という手法も制約厳しいスマホ以外では利用されます。
スマホの「SoC」の構造
それでは、「SoC」の中でもスマホに搭載される「SoC」はどのようなLSIを1つのチップに集約しているのか見ていきましょう!
あらゆる計算を担う「CPU」
皆さんご存知CPU。
CPUは、人間でいうところ脳に辺り制御から、アプリの挙動まであらゆる計算を実行し、他のLSIの制御やOSの制御も行うため「SoC」の中では、最も重要な部分です。
このCPUの性能においては、スマホ登場時から比べると最低でも15倍、最大30倍以上の性能に進化しています。
進化の過程でデュアルコアからクアッドコアなど複数のCPUコアを持つようなることでマルチタスク性能が大幅に上がりました。
近年では「big.LITTLE」と呼ばれる性能に優れたビックコアと低消費電力に優れたリトルコアのヘテロジニアス構成が主流になったことで、高性能と低消費電力が高いレベルで両立されています。
また、スマホのCPUアーキテクチャはintelのATOMなどのX86も採用されていましたが現在全てARMのアーキテクチャです。
映像やグラフィック処理を担う「GPU」
CPUについで「SoC」に欠かせない重要なLSIがGPU。
GPUは主にゲームなどの描写の3Dグラフィックスなどの計算処理を行います。
CPUでも3Dグラフィックスの処理は可能ですが、GPUの場合特化している分性能は桁外れでフラグシップの「SoC」では、CPUより専有面積も巨大。
また、GPUは小さいコアを大量に詰め込むことで性能をあげるため一昔前の据え置き機よりも処理性能が優れるなど性能的には最も進化してるLSIといえるでしょう。
※「SoC」に内蔵されるGPUについては[スマホのGPUとは?!]に詳細な記事がありますので、興味があればご覧くださいませ!
ストリーミング処理を担う「DSP」
DSPは「Digital Signal Processor」の略は、GPUなどと同じ用に特定分野に特化や最適化されたLSIです。
具体的には音声ストリーミングの処理や映像データなどの処理をCPUの変わり実行します。
また、QualcommのSnapdragonでは高性能な「DSP」でAIなどを実行するので「NPU」とは役割が曖昧になってきているといえるでしょう。
AIや深層学習を担う「NPU」
NPUは、AIの処理に特化したLSIでAppleの「Aシリーズ」やHiSliconの「Kirin」などの「SoC」では力を入れて開発しています。
NPUの性能が高いと顔の識別や音声認識などのスピードがアップするので今後重要になってくるでしょう。
レスポンスに影響する「キャッシュメモリ」
キャッシュメモリは、CPUの内部に接続されたメモリで一般的なRAMに比べて非常に高速かつ小容量です。
通常L1~L3(L1から順に遅くなる)までのキャッシュメモリを搭載し、RAMに比べて遥かに高速ですが容量は非常に小さいです。
また、よく使うデータをキャッシュメモリに一時置いておくことで処理が早くなります。
モバイル通信の基本「通信モデム」
スマホで使われる「SoC」の大半は通信モデムも内蔵しています。
通信モデムも内蔵することで4Gや5Gなどの通信やWi-Fi、Bluetoothも1チップだけで利用できるため、サイズの制約が厳しいモバイルデバイスでは非常に有効です。
しかし、Appleの「Aシリーズ」は、3Gや4Gなどの通信モデムを統合しておらずiPhoneでは、intelやQualcommの通信モデムを別途搭載しています。
スマホの「SoC」比較
続いて、スマホの「SoC」メーカーの比較をしていきます。
スマホ用の「SoC」を開発しているメーカーは、Qualcomm、Apple、Samsung、MediaTek、HiSilicon(Huawei)の5社。
殆どのスマホが上記メーカーの「SoC」を搭載しています。
「SoC」メーカーの特徴から比較すると、最大手で性能が高く採用数の多い「Qualcomm」、iPhone専用でCPUシングルコア性能の高い「Apple」、自社製スマホを中心に採用する「Samsung」、ローエンドやコスト重視のスマホに採用される「MediaTek」、Huaweiのみに登載されるそこそこ性能の高い「HiSilicon」といった感じです。
- Qualcomm/Snapdragon
- Apple/Aシリーズ
- Samsung/Exynos
- MediaTek/Helio、Dimensity
具体的な性能の比較については、スマホのベンチマークやスマホのCPUなどを閲覧くださいませ!
スマホの「SoC」確認方法
「SoC」とCPUの違いや開発しているメーカーが分かったら自分がどの「SoC」を使っているのか気になるところ。
自分の使っているスマホの「SoC」は、アプリを使えば簡単に調べられます。
色んなアプリで確認可能ですが、なかでもおすすめはGeekBench 5です。
ただ「SoC」を確認できるだけでなく、スマホのCPU性能を図るメジャーなベンチマークアプリなので調べるのと同時に性能もチェックできます。
また、GeekBench 5であればアプリをインストール後開けば最初の画面に登載されている「SoC」が出てくるので非常に簡単に確認可能です。
スマホの「SoC」についてまとめ
スマホの登場時期に比べると「SoC」を開発しているメーカーも減り性能の向上幅も減ってきて少し面白みにかける気がします。
しかし、その分成熟してきている証でもあり、ミドルレンジモデルでも昔のフラグシップを遥かに上回る性能で快適にスマホを利用できるようになったことはありがたいですね。