過去にBluetoothのバージョン、クラス、コーディック、について解説しましたが、自分の使用用途にあったBluetoothを探すには、プロファイルという存在も選ぶ上で重要。
何故かと言うと、プロファイルはBluetoothの機器同士の通信に必ず必要になるからです。
機器同士が同じバージョンでも、プロファイルが同じでないと使用できないなんてことも…。
ということで、今回はBluetoothの機器同士の通信に重要なプロファイルついて確認方法も踏まえながら徹底解説します!
また、Bluetoothのコーデックを知りたい人は[Bluetoothのコーデックの音質と確認方法を徹底解説!!]をご覧くださいませ。
実際に使ってレビューしたモデルの中から抽出しています。
Bluetoothのプロファイルとは?
Bluetoothをつなぐ各機器の種類ごとに、操作方法や同じ通信方式を可能にする為に標準化した規格の名称がプロファイルです。
簡単に説明すると、「Bluetoothを使う機器同士が対応しているプロファイルを持っていれば通信でき、対応していない場合は通信する事はできません」ということ。
例えば、スマホとイヤホンをBluetoothで接続する時、スマホ側に[音を聞く]プロファイルしなければ、イヤホン側には[音を聞く]と[音の再生や停止操作が出来る]というプロファイルがあっても、音楽の再生や停止を利用することはできません。
そのため、必要だった機能が使えなかったなんてならないように、対応しているプロファイルを事前にしておきましょう。
また、プロファイルは何年も改訂されないプロファイルあれば積極的に改訂されるプロファイルもあり、細かく分けるとかなり膨大数になるため、全てを把握する必要はありません。
- 機器同士の通信を行うためのに必ず必要
- 接続デバイス同士の片方が対応していないと利用できない
- 古いのから新しいのまで膨大なプロファイルがある
Bluetoothのプロファイルの主な種類
Bluetoothのプロファイルを分野毎にざっくり分けると、
- 音関係のプロファイル
- 通信系のプロファイル
- データ転送系のプロファイル
- 周辺機器の接続と操作系のプロファイル
- 認証検索系のプロファイル
の5種類に分類され、デバイスにより対応するプロファイル異なり、接続する双方のデバイスで同じプロファイルに対応することで利用することが可能です。
ここからは利用されることが多いプロファイルを5つの分野ごとにまとめて紹介していきます。
音関係のプロファイル
プロファイル名 | 機能内容 |
A2DP | 音声をレシーバー付きヘッドフォン(またはイヤホン)に伝送する。 HSP/HFPと異なり、ステレオ音声・高音質となる。 |
GAVDP | A2DP、AVRCPなどをサポートするための基本となるプロファイル。 ビデオストリームと音声ストリームを配信するために使用されます。 |
HSP | Bluetooth搭載ヘッドセットと通信する。 モノラル音声の受信だけではなく、マイクで双方向通信する。 |
HFP | 車内やヘッドセットでハンズフリー通話を可能にする。 HSPの機能に加え、通信の発信・着信機能を持つ。 |
VDP | ビデオ配信をする。 |
音関係のプロファイルは、主に音や音声を送ったり受け取るなどといったプロファイル。
[A2DP]は、高音質でステレオで音楽を聴くためには必須のプロファイルで、ワイヤレスイヤホンでは標準で利用できます。
しかし、ヘッドセット用途のイヤホンでは、対応してないことも有り、スレテオで音楽が流せなかったり音質が悪いケースも多いです。
また、単純にヘッドセットから音声を流すだけの[HSP]や通話の発信機能を加えた[HFP]は似ているようで別物。
プロファイルには上位互換や下位互換といった物がないので、プロファイルが合わないと利用できないケースもあります。
少しややこしいのが、[A2DP]にはコーデックが複数定義されているため、プロファイルが対応していてもコーデックが違うため接続できない場合もあるので注意が必要です。
通信系のプロファイル
プロファイル名 | 機能内容 |
LAP | Bluetoothを利用して無線LANを構築する。 |
DUN | 携帯電話・PHSを介してインターネットにダイヤルアップ接続する。 |
PAN | 小規模ネットワークを実現する。 |
ICP | 同一ネットワーク内にあるBluetooth搭載携帯電話同士を公衆電話網を介さずに直接、接続させる。 |
通信系のプロファイルはネットや複数の小規模ネットワークなどにつなぐといった内容の物です。
ダイヤルアップ接続する[DUN]や、無線LANの変わりに通信する[LAP]などのプロファイルがありますが、最も利用される機会が多いのが[ICP]。
携帯電話網などを経由せず直接接続できる機能のプロファイルです。
具体的には、お店の店員がやイベントなどで利用されるインカムなどに使われています。
データ転送系のプロファイル
プロファイル名 | 機能内容 |
OPP | 名刺データの交換などを行うためのプロファイル。 |
SYNC | 携帯電話・PHSやPDAと、PCとの間で、スケジュール帳や電話帳のデータ転送を行い、自動的にアップデートする。 |
BIP | 静止画像を転送する。 |
PBAP | 電話帳のデータを転送する。 |
OBEX | データ転送プロファイルの一つで、実装しているとデータ送受信時にOBEX認証パスキーの入力を接続相手に要求する。 |
GOEP | ファイル転送の基礎として機能する。 |
HCRP | プリンタへの出力を無線化する。 |
HDP | 健康管理機器同士を接続する。 |
データ転送系のプロファイルは、パソコン同士や携帯同士でのデータ転送や送信データの内容まで細かく分けられています。
画像だけを転送する為だけの[BIP]から複数の機器でのファイルをやり取りし認証パスを要求できる[OBEX]は、モバイルから固定機器まで幅広く採用されているので、ほとんどのスマホで利用可能です。
また、医療機器や健康機器などで採用されていた[HDP]もスマホで採用されるケースもあるため、汎用機に拍車がかかっています。
周辺機器の接続と操作系のプロファイル
プロファイル名 | 機能内容 |
SPP | Bluetooth機器を仮想シリアルポート化する。 |
HCRP | プリンタへの出力を無線化する。 |
BPP | プリンタへ転送・印刷する。 |
AVRCP | 再生・停止などのAVリモコン機能。 |
FAX | PCからFAXを送信する。 |
FMP | 遠隔からアラームやバイブレーションを鳴動させ、装置の場所を調べる。 |
周辺機器の接続と操作系のプロファイルは、単にFAXを送信を操作するだけの物や、マウスなどの機器を接続をして操作する物などがあります。
プリンターに印刷するデータ送るだけの[HCRP]や置き忘れた機器の場所を特定するために音やバイブレーションで知らせてくれるといった[FMP]の様な便利なプロファイルも双方対応していれば利用可能です。
認証検索系のプロファイル
プロファイル名 | 機能内容 |
SDAP | 他のBluetooth機器が提供する機能を調べる。 |
PXP | 接続した2つの機器間の距離をモニタリングする。 |
DIP | デバイスの認識等のために必要なデバイス固有の情報を提供する。 |
GAP | 機器の接続/認証/暗号化を行う。 |
GATT | デバイスが保持しているデータ要素の検索方法や、書き込み・読み出し・プッシュをおこなう |
認証検索系のプロファイルは、通信相手の機能の検索や、機器との距離を測定する物があり、中にはBluetooth対応する上で必須になる物があります。
特に重要なプロファイルは[GAP]と「GATT」です。
[GAP]は、接続する機器の暗号化や認証を行うといった物ですが、Bluetoothのバージョン4.0以降のBLEにおける最上位の定義であり、BLE機器はこの[GAP]プロファイルに従って実装。
また、「GATT」はデータ層の最上位となる定義で、すべてのBLEデバイスは[GATT]を基にデータのやり取りをしています。
現在Bluetooth対応するには少なくとも[GAP]と「GATT」の2つが必須のプロファイルです。
また、Bluetoothのバージョンやクラスについても知りたい場合は、[Bluetoothのバージョンによる違いを徹底解説!!]や[Bluetoothのクラスの違いについて徹底解説!!]をご覧くださいませ!
イヤホンで使われるBluetoothのプロファイル
Bluetoothの主なプロファイルの種類がわかったところで、イヤフォンで主に使われる、
- 「A2DP」
- 「AVRCP」
- 「HSP」
- 「HFP」
などの4つのプロファイルについて順に解説していきます。
イヤホンでは必須の「A2DP」
音を流すのに必要なのがプロファイルが[A2DP]です。
高音質な音楽をステレオで聞くためのプロファイルなのですが、[A2DP]と密接に関わってくるのがコーディック。
[A2DP]で必須になるのが「SBC」なので、基本セット「SBC」は利用可能ですが、低遅延で高音質な「AAC」や「aptX」などはメーカーによって対応が異なります。
また、「AAC」や「aptX」は極端に安いワイヤレスイヤホンの場合、対応してないケースが多いので、音質や遅延を気にする場合は必ず確認しましょう。
Bluetoothのコーデックを詳しく知りたい人は[Bluetoothのコーデックの音質と確認方法を徹底解説!!]をご覧くださいませ。
操作に関係する「AVRCP」
音の再生や停止、巻き戻しや早送りなどの操作に関して必要なプロファイルです。
再生や直接音量などの操作を音楽プレーヤーなどで直接操作する人には必要のない物かもしれませんが、スマホでイヤホンを使用している場合は電話が来たときにイヤホン側から切り替えも出来るのでやはり対応しているモデルを選びましょう。
ヘッドセッドに必須のプロファイル「HSP」
ヘッドセットなどの機器でモノラル通話を可能にするためのプロファイル。
通話用のヘッドセットにはまずついています。
モノラル通話用のプロファイルなので必要最低限の機能しかありません。
ヘッドセットの操作に使える「HFP」
通話開始操作や着信機能やハンズフリーなども使用可能になるプロファイルの「HFP」。
HSPの通信機能を備えた上位版といった感じのプロファイルで、通話用のヘッドセットには殆どの場合がHSPと一緒に搭載されています。
しかし、[A2DP]を搭載していない場合は「通話は出来ても音楽が再生できない…」といった問題がおきるので、ヘッドセットで音楽を聞こうと考えている人は必ず確認しましょう!
Bluetoothのプロファイルの確認方法
Bluetoothのプロファイルの確認方法は、取り扱い説明書や企業ページでの確認する事可能です。
多くの場合各メーカーの「Bluetoothの仕様」などと表記されているページにバージョンやプロファイルが記載されています。
スマホでイヤホンを使用する場合は、家電量販店などで売られているイヤホンの殆どがBluetoothのバージョン4.0以降のBLE対応なのでプロファイルの確認をする必要性はありません。
しかし、ヘッドセットなどを購入しようとしている人はプロファイルの違いによって音楽が再生されない場合もあるので事前に確認しましょう。
Bluetoothのプロファイルまとめ
Bluetoothはバージョン、クラス、コーディックに加えプロファイルと結構詳しい人じゃないと分かりにくいし、何を優先に選んだら良いのか一見分からなくなりますよね。
しかし、スマホとワイヤレスイヤホンの組み合わせであれば、殆どの場合互換性があるので、音質や遅延を気にする人はコーディックやイヤホンの音作りを意識して選ぶのがおすすめです。