イヤホンに入ってくる周囲の騒音を打ち消すANC(アクティブノイズキャンセリング)。
完全ワイヤレスイヤホンでは、元々20,000円以上のハイエンド機でしか搭載されていませんでしたが、2020年に入ってから10,000円未満の低価格モデルも徐々に登場しています。
そんな中、コスパの高さで定評のあるTaoTronicsから登場したANC対応モデルが「SoundLiberty 94」。
とういうことで、ANCに対応しただけでなく、9.2mmの大きめのドライバーを搭載したTaoTronics「SoundLiberty 94」の性能と操作性などをレビューしていきます。
実際に使ってレビューしたモデルの中から抽出しています。
TaoTronics「SoundLiberty 94」の概要
「SoundLiberty 94」は、フィードフォワード方式とフィードバック方式の2つ方式を採用したハイブリッドANC対応完全ワイヤレスイヤホンです。
価格を10,000円以内に抑えつつ、最大35dbの騒音を打ち消す性能や外音取り込み機能も搭載しています。
また、ANCだけでなく左右同時伝送(MCSync)にも対応し、最大8時間の長時間連続再生を実現するなど利便性も高いため、初めてANCを利用する人にとって満足度の高い仕上がりといえるでしょう。
- ハイブリッドANC対応
- 外音取込機能対応
- 左右同時伝送(MCSync)
- 長時間連続再生
左右同時伝送について知りたい方は[TWSとは?完全ワイヤレスイヤホンの伝送方式を徹底解説!!]をご覧くださいませ。
TaoTronics「SoundLiberty 94」のスペック
商品名 | SoundLiberty 94[TT-BH094] |
連続再生時間 | 8時間/5時間(ANCモード) |
ケース込再生時間 | 最大32時間/20時間(ANCモード) |
急速充電 | 非対応 |
Bluetooth | Bluetooth5.1 |
コーデック | AAC/SBC |
ドライバ | 9.2mmドライバー |
左右同時伝送 | 対応(MCSync) |
音取り込み | 非対応 |
通話ノイズキャンセリング | 対応 |
マルチペアリング | 対応 |
マルチポイント接続 | 非対応 |
ノイズキャンセリング | ANC対応(ハイブリッド) |
外部音取り込み | 対応 |
インターフェース | USB/TypeC |
防水性能 | IPX4 |
操作 | タッチセンサー |
連携アプリ/イコライザ | 非対応 |
ワイヤレス充電 | 非対応 |
ペアリング | MCSync |
チップセット | Airoha AB1522A |
バッテリー容量 | イヤホン50mAh×2/ケース360mAh |
重量 | 片耳5.3g 総重量49.8g |
その他機能 | 特になし |
販売先 | Amazon |
チップセットがTaoTronicsで採用実績の高いAiroha AB1536UからAB1522Aに変更されて、ANCとBluetooth5.1に対応しています。
また、このクラスの完全ワイヤレスイヤホンでは、少し大きめの9.2mmドライバを搭載するなど音質面での期待大。
TaoTronics「SoundLiberty 94」のデザインチェック
まずは、大きめのドライバーを搭載したTaoTronics「SoundLiberty 94」のデザインをチェックしていきましょう!
いつものTaoTronicsの「外箱」
TaoTronicsの外箱は、ホワイトベースにオレンジのアクセントカラーでミニマルなデザイン。
「SoundLiberty 92」や「SoundLiberty 53」と比べても商品名以外変化なし。
外箱を横に引っ張ると出てくるオレンジの内箱も全く同じです。
内箱を開けるとスポンジに包まれた、イヤホン本体が登場。
5,000円未満の商品では、十分なクオリティーに感じましたが、10,000円近くする製品だと正直もうちょっとクオリティーを上げて欲しいところ。
スタートガイドが分かりやすい「同梱物」
TaoTronics「SoundLiberty 94」の同梱物は以下の通り。
- イヤホン本体×1
- 充電ケース×1
- イヤーピース×3
- USB/TypeA-TypeCケーブル×1
- 説明書×1
- スタートガイド×1
- thanksカード×1
スタートガイドは日本語には対応していませんが絵で説明されており、ジャスチャーのコマンドもわかるのでこれだけで十分なぐらい分かりやすいです。
ちなみに、説明書は日本語でしっかり書かれています。
また、TaoTronicsは18ヶ月の延長保証が無料で利用可能!
Amazonの注文番号を利用して製品登録をするだけなので、長期間の利用を考えている人は登録しておきましょう!
マッドブラックで耳側と微妙に色合いが違う「本体」
本体はマッド系のブラックでサラサラしているので、指紋などは気になりません。
質感的にはプラスチック感が強くもう少し何かしらの加工が欲しいところ。
耳側は少し大きいものの、耳にピッタリハマる形状。
表面と異なり境目がわかるレベルで色合いが若干薄くなっています。
バランスが取れた「イヤーピース」
イヤーピースは、イヤホンに最初についているものと合わせ3種類。
厚みも柔軟性も標準的で、装着感と遮音性のレベルはかなり高め!
本体と同一色で一体感のある「充電ケース」
充電ケースは本体と同一色のため、一体感は高め。
質感も殆ど同じため、絶対的な価格を考えるともう少し質感を上げて欲しいところ。
また、イヤホンは横入れで取り出すスペースはしっかり確保されているものの、若干滑りやすい素材のため取り出しやすさはやや低めです。
もはや当たり前で対応したUSB/TypeCの「インターフェース」
充電インターフェイスは、当然USB/TypeC。
2019~2020年頭の頃は、microUSBの商品も多かったですが、今はUSB/TypeCが標準仕様ですね。
また、インターフェイスの配置は後部のため、目立ちにくく、使い勝手抜群!
ちょうど良く光る「LEDランプ」
イヤホン本体のLEDは、明るさも視認性もちょうど良い感じで、違和感や不便さを感じることはありません。
また、LEDの色は白と青で発光パターンは以下の通り。
- 電源ON:白点滅
- ペアリングモード:白と青が交互に点滅
- ペアリング中:青点滅
充電器のLEDは外側でインジケーター付き!
やっぱりインジケーターがあると残量がわかるので使い勝手良いですね。
思った以上に軽い「重量」
実測で、本体が10gでケースが38グラムと連続再生時間を考えるとかなり軽量。
特に本体は連続再生時間8時間、ANC利用時でも5時間と長い連続再生を達成していることを考えると驚異的です。
充電ケースも360mAhの容量を確保しながら38グラムなので、軽量といえる部類でしょう。
TaoTronics「SoundLiberty 94」の使い方
続いて、TaoTronics「SoundLiberty 94」のペアリング方法やタッチセンサーを使ったANCのON/OFなどのコマンドを解説していきます。
ペアリング方法
まずはイヤホンとスマホのペアリングから!
TaoTronics「SoundLiberty 94」は、充電ケースからイヤホンを取り出すとペアリングモードに入るので、あとはスマホ側で設定していきましょう!!AndroidとiPhoneそれぞれのペアリング方法を紹介していきます。
また、マルチペアリング対応のため、基本的に一度つないでしまえば、次からはBluetoothをONにしておけば充電ケースから取り出したら自動で接続してくます。
Bluetoothのペアリングや接続できない時の解決方法を徹底解説!!
Androidのペアリング手順
Androidの場合は以下の手順で進めましょう!
- 充電ケースからイヤホンを取り出す
- [設定]を開く
- [Bluetooth]を選択
- [新しいデバイスとペア設定]を選択
- [「SoundLiberty 94」]を選択
- [ペア設定をする]を選択
iPhoneの場合
iPhoneなどのiOS機器との接続は以下の手順でお試し下さいませ!
- 充電ケースからイヤホンを取り出す
- 本体[設定]
- [Bluetooth]をON
- [その他のデバイス]を選択
- [「SoundLiberty 94」]を選択
- [ペア設定をする]を選択
操作方法
ANCや音楽、通話はタッチセンサーを使ったコマンドで操作します。
コマンドやタッチセンサーの癖を把握することで、使い勝手が良くなるため覚えてしまった方が良いでしょう。
また、癖あまりないものの、2回タッチがある場合は、「トットン」早めにとタッチするとミスが出にくく快適に利用できます。
ANCの操作方法
一般モード/ANCモード切り替え | 左イヤホンを2秒ロングタッチ |
アンビエントモード(外音取込) | 左イヤホンを2回タッチ |
ANCのON/OFFは、左イヤホン2秒ほどロングタッチ、外音を取り込むアンビエントモードは左を2回タッチとちょっと変則的。
モード切替は2秒となっていますが、2秒かからず切り替わり音声案内も入るので、切り替わるまでロングタッチと覚えて置くと良いでしょう。
また、ANCモードで電源を落とした場合、再度利用する時ANCモードで始まるので地味に便利です。
音楽再生関連の操作一覧
音楽を再生 / 一時停止 | 右イヤホンを2回タッチ |
次の曲へ | 右イヤホンを3回タッチ |
前の曲へ | 左イヤホンを3回タッチ |
音量を上げる | 右イヤホンを1回タッチ |
音量を下げる | 左イヤホンを1回タッチ |
音楽関連のジェスチャーはフル完備。
誤動作が起こりがちな1回タッチも一瞬では、認識しないため使い勝手は良好。
ただ、私の場合複数の完全ワイヤレスイヤホンを使っているため、流石に覚えきれなくなってきているので、専用のコンパニオンアプリに対応しジェスチャーの変更ができるとベスト。
複数の完全ワイヤレスイヤホンを利用していなくても、優先順位は人によって異なるので、そういう意味では専用のアプリで弄れる「Soundcore Liberty Air 2」は優秀です。
通話や電源関連の操作一覧
電話に出る | 左右どちらかを1回タッチ |
電話を切る | 左右どちらかを2秒ロングタッチ |
着信を拒否する | 左右どちらかを2秒ロングタッチ |
音声アシスタント | 右イヤホンを2秒ロングタッチ |
若干使い勝手が悪いのが、電話を切るコマンド。
ANCモード切り替えとジェスチャーが重複しているため、通話中はANCモード利用できず通話が切れてしまいす。
仕事などの使う場合ここは絶対気をつけましょう。
TaoTronics「SoundLiberty 94」の音質
TaoTronics「SoundLiberty 94」の音は低音と中音域の上の方が、強めに出るのである程度クリア感を確保しつつ、厚みのある音の作りとなっています。
迫力とマイルドさのバランスが取れている一方、立体感や派手さには欠ける傾向です。
とはいえ、高音もある程度出るため、今まで試したTaoTronicsの中ではもっとも好み。
また、ANCをONにするとわずかにボーカルが目立つようになるので、中高音域が少し伸びるため、ロックやクラシックを聴く場合、ANCモードの方が良いでしょう。
全体的には、ANC搭載とはいえ、10,000円近くするイヤホンなので音のバランスはともかくもう少し輪郭があって解像感の高い音質を期待したいところ。
- やや中低音よりの音質
- 高音も出るためバランスは良い
- 解像感はやや物足りない
意外と効果のある「ノイズキャンセリング」
TaoTronics「SoundLiberty 94」のANCは最大35db騒音を低減するというスペック通りかなり優秀。
屋内ではPCやレンジフードのファンなどはかなり低減され、屋外工事や電車の騒音も体感でわかるぐらい打ち消してくれるため、普段の音量から20%は下げても同じ没入感で音楽を楽しめる印象です。
また、ANCモードに切り替えても「ジー」などのノイズもかなり小さく、圧迫感もないので10,000円程度の値段を考えるとかなり高い満足感を得られるでしょう。
また、のANCの仕組みについては[「ノイズキャンセリング」とは?外音を打ち消す仕組みを徹底解説!!]をご覧くださいませ!
精度は高いがノイズが気になる「外音取り込み」
更に外音を取り込む、アンビエントモードもかなり性能が高く、イヤーピースの遮音性だけで殆ど聞こえなくなるキーボードの音などが外した時と変わらないレベルで聞こえるようになります。
もちろん、普通に喋ったり話しかけれれても十分わかるため、効果を体感しやすいです。
ただ、アンビエントモード時は、大きめに常時「サー」と音が聞こえるので長時間の利用するのは向きません。
TaoTronics「SoundLiberty 94」の使用感
それでは、格安でANCに対応したTaoTronics「SoundLiberty 94」の音質や使用感をまとめていきます。
結論からいうと、突出した部分は少ないながら、バランス良く仕上がっていて、ANC性能も価格帯に見合わないレベルの出来!
万人向けで価格を考えたら十分満足できるクオリティです。
安定感の高い「装着感」
耳に入るイヤーピースが下側になり、上部が耳にフィットするため、装着感は高く安定しています。
多くのうどんタイプのイヤホンよりフィットしやすく「EarFun Free」ほどでは有りませんがこの価格帯ではトップクラスといえるでしょう。
また、耳がすっぽり覆われるためか遮音性高く、ANCとの相性も抜群です。
実用的な「接続速度と安定性」
Airohaのチップセットを使っているモデルは、どれも安定した接続速度と安定性なので不安はありませんでしたが、TaoTronics「SoundLiberty 94」ももちろん実用的なレベルに仕上がっています。
充電ケースからイヤホンを取り出して耳に付けている間には、接続されるし電車や多少の人混みでは今の所途切れることもありません。
バランスの良い「通話音質」
完全ワイヤレスイヤホンの中では通話音質はそこそこ。
声は大きめに拾いつつ、多少周囲の騒音をキャンセルしてくれます。
今まで利用したAiroha製のチップセットを採用するイヤホンの中ではトップクラスでよく出来ている印象。
とはいえ、個人的にはQualcomm製のチップを採用する完全ワイヤレスイヤホンの方が通話音質が良い傾向があるため、「Soundcore Liberty Air 2」や「Soundcore Life P2」にはあと一歩及びません。
かなり優秀な「連続再生時間と充電ケース」
充電器込みの再生時間は標準的なレベルですが、連続再生時間は8時間と間違いなくトップクラス。
しかも、ANCモードでも5時間確保されているので、長い移動時にも有用です。
このスペックのまま急速充電機能がついていたら、長時間の飛行機でもガッツリ使えそうなので次は是非搭載して欲しいところ。
また、実測で試したところ、音量60%で約7時間30分、ANCモードで約4時間40分ほど持ったのでほぼスペック通りです。
少し低めの「防水性能」
防水性能は完全ワイヤレスイヤホンとしては低めのIPX4。
とはいえ、ANC対応モデルで括ると現在の標準的レベルの防水性能です。
ただ、水の飛沫レベルまでの防水なので、水没はもちろん雨もちょっと厳しく雑に扱う人は注意して利用しましょう。
ほぼ感じない「遅延」
遅延の少ないaptXに対応していませんが、YouTubeやプライム・ビデオの視聴では遅延は殆ど感じません。
TaoTronics「SoundLiberty 94」に限らず、Airoha製のチップは採用モデルは、左右同時伝送(MCSync)で帯域が安定しているためかAACでも違和感なく利用可能ですね。
遅延などに影響するコーデックについて詳しく知りたい場合は[Bluetoothのコーデックの音質と確認方法を徹底解説!!]をご覧くださいませ。
TaoTronics「SoundLiberty 94」がおすすめの人
TaoTronics「SoundLiberty 94」は、低価格で高性能なANCに対応しているため、初めてANCの完全ワイヤレスイヤホンの購入を検討している人におすすめ。
というのも、ANCだけでなく外音取り込み機能も優秀で左右同時伝送や長時間連続再生など使い勝手も良いバランスの良い作りになっているためです。
また、他のローエンドやミドルレンジの完全ワイヤレスイヤホンからの乗り換えでも十分満足出来る仕上がりになっています。
逆に音質至上主義の場合、10,000円出せばもっと音の解像感の高いモデルもあるため避けた方が良いでしょう。
TaoTronics「SoundLiberty 94」レビューのまとめ
高級機にも劣らないノイズキャンセリング性能を秘めたTaoTronics「SoundLiberty 94」。
トレンドのANCを高い精度で楽しめるので、ANCが気になる人には良い選択肢になりそうです。
また、イコライザーやジェスチャーのコマンドを変更できるコンパニオンアプリに対応すれば、更に使い勝手はますので今後ぜひ対応してい欲しいですね。