ピアノ、管楽器にギターなど多くの楽器を発売するオーディオメーカーのヤマハ初の完全ワイヤレスイヤホンが「TW-E3A」。
完全ワイヤレスイヤホン参入は2019年12月と比較的遅かったものの、トップメーカーだけに音質の評価が高かっため、発売から半年以上立ちますが購入してみました。
ということで、今回はヤマハ「TW-E3A」の音質や気になる操作性をしっかりレビューしていきます。
実際に使ってレビューしたモデルの中から抽出しています。
ヤマハ「TW-E3A」の概要
「TW-E3A」は、ヤマハ初の完全ワイヤレスイヤホンで、外音取り込みが付いた「TW-E5A」やANCを搭載した「TW-E7A」のローエンドモデル。
そのため、価格は10,000円未満で有りながら音響メーカーらしく音質は、バランスも良く価格以上のクオリティーに仕上がっています。
また、コンパニオンアプリにも対応し、小音量時に響きが悪くなる低音や高音の周波数特性を強化するリスニングケアも利用可能!
その他にもQualcommのQCC3020を搭載することで、左右独立伝送が可能な「TWS Plus」に対応しています。
- トップオーディオメーカーらしいバランスの良い高音質
- 音量に応じて音のバランスを調整するリスニングケアがコンパニオンアプリで利用可能
- 左右独立伝送の「TWS Plus」に対応
- aptX対応
左右独立伝送については、[「TWS Plus」とは?Qualcommの左右同時伝送方式を徹底解説!!]をご覧くださいませ!
ヤマハ「TW-E3A」のスペック
商品名 | ヤマハ「TW-E3A」 |
連続再生時間 | 6時間 |
ケース込再生時間 | 最大24時間 |
急速充電 | 非対応 |
Bluetooth | Bluetooth5.0 |
コーデック | aptX/AAC/SBC |
ドライバ | 6mmダイナミックドライバー |
タイプ | カナル型 |
左右独立伝送 | 対応 |
音取り込み | 非対応 |
マルチペアリング | 対応 |
マルチポイント接続 | 非対応 |
ノイズキャンセリング | 非対応 |
インターフェース | USB/TypeC |
防水性能 | IPX5 |
操作 | 物理ボタン |
連携アプリ | Headphones Controller |
ワイヤレス充電 | 非対応 |
ペアリング | TWS Plus |
チップセット | Qualcomm QCC3026 |
充電ケース容量 | 520mAh |
重量 | 片耳6.3g 充電ケース39g |
その他機能 | LISTENING CARE |
販売先 | Amazon |
ヤマハ初の完全ワイヤレスイヤホンとはいえ、「TWS Plus」に対応したり、コンパニオンアプリが利用できながら10,000円未満で仕上げたのは流石の一言!
レビュー時点では発売から半年以上立っているので目新しさはありませんが、2019年12月時点でヤマハのブランドを加味するとかなりコスパの高さを感じます。
「TW-E5A」と「TW-E7A」との違い
TW-E3A | TW-E5A | TW-E7A | |
ANC | ☓ | ☓ | ◯ |
アンビエントサウンド | ☓ | ◯ | ◯ |
ワイヤレス充電 | ☓ | ☓ | ◯ |
「TW-E3A」の上位モデルとの機能的な差は上記の表の通り。
選び方としては、外音取り込みやANC(アクティブノイズキャンセリング)をどこまで重視するかで決められるので、選択しやすいランナップ。
また、機能以外にもデザインや質感、搭載するチップセットが上位モデルではQualcomm QCC5124などの違いがあります。
ヤマハ「TW-E3A」のデザインチェック
それでは、ヤマハロゴの音叉マークがカッコいい「TW-E3A」のデザインをチェックしていきましょう!
価格を考えるとクオリティーの低い「外箱」
薄めの箱でデザインも質感も標準的。
5,000円未満の完全ワイヤレスイヤホンの外箱と比べると下手したら劣るレベル。
全てがペラペラ。
JPRiDEの「TWS-X」ぐらいハイクオリティーは求めませんが、ヤマハというブランドを考えるともう少しパッケージからしっかり作って欲しいところ。
これだと開封した時の「ワクワク」感が全くありません…。
中華感が強い「同梱物」
ヤマハ「TW-E3A」の同梱物は以下の通り。
- イヤホン本体×1
- 充電ケース×1
- イヤーピース×4
- イヤースリーブ×2
- USB/TypeA-TypeC充電ケーブル×1
- 日本語の取り扱い説明書×1
- 英語の取り扱い説明書×1
- フランス語の取り扱い説明書×1
- 保証書×1
説明書はA3の紙を畳んだだけだし、中国語の合格証が入ってるしと中々酷い…。
ロゴがカッコいい「本体」
外側はサラサラとした質感で、内側はスリーブが装着が前提のためか無加工のプラスチック。
サイズも大きく質感もあまり高くないですが、音叉を3本重ねたロゴがカッコいいので正直結構好き。
スリーブが装着された裏面。
ホコリが付きやすく見栄えはあまり良くありません。
しっかりとした質感の「イヤーピース&スリーブ」
イヤーピースやスリーブの質感は近く、厚めでしっかりとしています。
ホコリが付きやすいのが難点です。
印字じゃなくシールの「充電ケース」
「TW-E3A」の充電ケースは、大きく無加工のプラスチック感が強く質感が悪いと言わざる得ません。
また、各種認可マークやバッテリー容量の記載なども印字ではなく安っぽいシールが貼られているので、稀にみる低クオリティーです。
10,000円近くする商品なので、もう少しなんとかならなかったのかと。
USB/TypeCはさすがに採用した「インターフェース」
充電インターフェイスは、背面に配置されているため使い勝手は良いです。
気になるのは、充電ケースのLED。
背面にある上、インジケーターも1つだけなので分かりにくく、デザイン性も皆無。
分かりやすい「LEDランプ」
充電ケースに比べ本体のLEDは、配置も良く視認性も問題なし!
色は充電中が赤、ペアリング時には青に光ります。
少し重めの「重量」
イヤホン本体はの重量は実測で12g。
サイズが少し大きいため、質量は低く他の完全ワイヤレスイヤホンと比べても重い感じはしません。
充電ケースも40g未満で標準の範囲内ですが、イヤホンも充電ケースも大きめです。
ヤマハ「TW-E3A」の使い方
続いて、物理ボタンを採用したヤマハ「TW-E3A」のペアリング方法と音楽や通話を快適に利用するための、コマンドを解説していきます。
ペアリング方法
いつもは、ピュアAndroidで試しますが、「TW-E3A」が「TWS Plus」に対応しているのでスマホ側も対応しているXiaomi「Redmi Note 9S」でペアリングしていきます。
「Redmi Note 9S」はMIUIのため、ピュアAndroidとは細かい部分の手順は違いますが、基本的な流れは殆ど同じです。
Bluetoothのペアリングや接続できない時の解決方法を徹底解説!!
Androidのペアリング手順
Xiaomi「Redmi Note 9S」でのペアリング手順は以下の通り。
- 充電ケースを開く
- スマホの[設定]を選択
- [Bluetooth]を選択
- [Yamaha TW-E3A R]を選択
- [ペアリング]を選択
以上で上記写真のように左右独立伝送状態で接続されます。
「TWS Plus」に非対応のAndroidスマホの場合、通常右側マスターのリレー伝送で利用可能です。
iPhoneのペアリング手順
iPhoneの場合は「TWS Plus」が利用できないので、強制的にリレー伝送になりますが、「TW-E3A」の場合、左右それぞれ片耳での利用も可能ですので、それぞれペアリングしておきましょう!
設定方法は手順は以下の通り。
- 本体[設定]
- [Bluetooth]をON
- [その他のデバイス]を選択
- [Yamaha TW-E3A R]を選択
- [ペア設定をする]を選択
操作方法
タッチセンサーを搭載するモデルが多い中「TW-E3A」は物理ボタン。
見た目的にはシームレスのなっているので、タッチセンサーっぽいですが、結構しっかりとした押し心地の物理ボタンを採用しているため、分かりやすい反面、少し強めに押す必要があり、イヤホンの装着感次第ではかなり使い勝手が悪くなります。
音楽再生関連の操作一覧
音楽を再生 / 一時停止 | 左右どちらかを1回押す |
次の曲へ | 左イヤホンを2秒間長押し |
前の曲へ | 右イヤホンを2秒間長押し |
音量を上げる | 左イヤホンを2回押す |
音量を下げる | 右イヤホンを2回押す |
音楽関連は、再生/停止はもちろん、音量、曲送り/戻し全て利用できます。
個人的には利用頻度の高い、曲送り/戻しが長押しなのが辛いところ。
通話や電源関連の操作一覧
電話に出る | 右イヤホンを1回押す |
電話を切る | 通話中に右イヤホンを1回押す |
着信を拒否する | 着信中に右イヤホンを2秒間長押し |
音声アシスタント | 右イヤホンを3回押す |
イヤホンの電源を入れる | 左右どちらも2秒長押し |
イヤホンの電源を切る | 左右どちらも5秒長押し |
音楽関連に比べ、通話関連は操作性が良い順に使用頻度が高いコマンドが割り当てられているので使い勝手は上々!
リスニングケア
「TW-E3A」で利用できるコンパニオンアプリ「Headphones Controller」。
AndroidでもiPhoneでも利用できるので、下記のリンクから利用する場合はインストールしておきましょう!
「TW-E3A」をスマホとペアリングした状態であればすぐに利用可能です。
利用できる機能は以下の通り。
- リスニングケア
- ファームウェアアップデート
- オートパワーオフ時間
コンパニオンアプリが利用できるとはいえ、イコライザーやボタン割当の変更も出来ないため、小音量時の周波数特性を最適化するリスニングケア以外ではあまり利用価値がありません。
また、2020年10月現在、発売から半年以上を優に経過したにも関わらず、バージョンが1.00のままでファームウェアのアップデートも来ておらず、Anker「Soundcore Liberty Air 2」と比べてしまうと機能的にもアップデート的にも残念。
ヤマハ「TW-E3A」の音質
「TW-E3A」は、[低音、中音、高音]のバランスが非常に高く、変な強調もないので心地よく音楽を楽しめる音質。
高音が出すぎてシャリシャリしたり、中音の厚みがありすぎて、クリア感に欠けると言ったこともないので癖がありません。
実際、解像感も高く、どの楽器も満遍なく聴こえるうえ、音の距離感も適切で疲れも感じにくいので5,000円前後の完全ワイヤレスイヤホンとは次元が違います。
また、リスニングケアは音量に応じて低音や高音を自動で調整してくれるので、迫力がなくなりがちな小音時はかなり効果を実感可能!
強いてマイナスポイントを上げると、バランスが良すぎてHIP HOPやEDM系の音楽を低音が強調されたイヤホンで聴いていた人には物足りなさを感じると思います。
- 低音~高音までバランスが良い
- 癖がなく心地よく音楽を楽しめる
- 解像感も高く音の輪郭がわかる
- 低音重視の音楽ジャンルでは迫力に欠ける
ヤマハ「TW-E3A」の使用感
それでは、ヤマハ「TW-E3A」を使ってみた操作性や装着感などの使用感をまとめていきます。
結論からいうと、質感や操作性などの使用感が悪く全体の完成度が低い一方、さすがヤマハと思えるほどの高い音質なので、あと一歩といった感じです。
安定感が低い「装着感」
「TW-E3A」の装着感はスリーブを付けていると耳にピッタリはまらず、浮いてしまうため首を振ったりすると落ちてしまうと感じるくらい不安定。
スリーブを外すとある程度フィットするので脱落してしまうことはありませんが、それでもフィット感は高くありませんでした。
もちろん、耳の形状によってフィト感は異なるので、他の人が試せば異なる結果になると思いますが、今まで試した完全ワイヤレスイヤホンの中では最もつけ心地が悪いです。
また、遮音性はイヤーピースとスリーブの質のおかげかかなり高く、一般的な完全ワイヤレスイヤホンの遮音性と比べても明らかに違いが分かるレベルです。
2~3秒と少し遅めの「接続速度と安定性」
スマホとのBluetoothの接続速度は、だいたい2~3秒。
実用範囲ではありますが、最近の完全ワイヤレスイヤホンと比べるとやや遅め。
また、安定性は左右独立伝送の「TWS Plus」に対応した「Redmi Note 9S」で試しても、リレー伝送しか利用できない「Google Pixel 4a」でも電車ぐらいなら特に途切れることなく利用可能です。
とはいえ、環境が悪化するほど左右独立伝送の方が有利になるので、「TWS Plus」対応スマホで利用したほうが効果的。
音量が小さい「通話音質」
マイク性能は正直低め。
反響なども少なく質は問題ないものの、声そのものが少し小さいので、相手の通話先が外などにいる場合機器取りにくくなります。
室内であれば十分聞き取れますが、多少反響感が増えても音量をもう少し上げて欲しいところです。
また、屋外では騒音も拾ってしまい、更に声が聞き取りにくくなるため、通話目的で「TW-E3A」を選ぶのは止めましょう。
本体もケースも標準的な「連続再生時間と充電ケース」
「TW-E3A」では、連続再生時間が6時間、充電ケース込みで24時間と可もなく不可もなく標準的。
実測値では、音量50%でリレー伝送の場合、約5時間、左右独立伝送の「TWS Plus」の場合約6.5時間と当たり前ですが開きがありました。
リレー伝送の場合、片耳のみ消費が激しくなるとはいえ、約5時間利用できたので及第点でしょう!
ちょっと低い「防水性能」
防水性能はIPX5と噴流までなので、汗や雨ぐらいまでの防水。
そのため、水没が完全にNGですが、水没する環境ってあまり想像できないので実用上問題ありません。
ただ、スペック的な見方をすると5,000円未満の低価格な完全ワイヤレスイヤホンでもIPX7に対応しているので見栄えとしては微妙。
意識してもほとんど分からない「遅延」
左右独立伝送にaptXの環境下だと電車などの室内より通信環境が悪い状態で、YouTubeを視聴しても音ズレはわからず。
同じ環境下でリレー伝送のスマホに接続して試しても殆ど分からないので、aptXはマジで優秀。
また、遅延などに影響するコーデックについて詳しく知りたい場合は[Bluetoothのコーデックの音質と確認方法を徹底解説!!]をご覧くださいませ。
ヤマハ「TW-E3A」がおすすめの人
ヤマハ「TW-E3A」は、10,000円未満の予算でできるだけ高い音質を求めるユーザーにおすすめ。
5,000円未満のモデルの中低音ゴリ押しの完全ワイヤレスイヤホンと異なり、バランスの取れた解像感の高い音質を楽しめます。
逆に、音質をそれほど重視していない人は避けましょう。
物理ボタンでのコマンド操作性やマイク性能が正直高くありません。
とはいえ、音質を重視した場合、これだけバランスの取れた音の調整がされているイヤホンは、10,000円未満だと選択肢が少ないため、候補としては有り!
ヤマハ「TW-E3A」レビューのまとめ
ヤマハ「TW-E3A」は、価格を考えなくても中々素晴らしい音質。
特に周波数特性のバランスや解像感が他の同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンでは味わえないため、そういう意味では満足。
しかし、音質以外の[パッケージ、質感、操作性、コンパニオンアプリ]などの完成度が低すぎます。
価格的に強豪になるAnker「Soundcore Liberty Air 2」の方が音質以外の全てが大きく上回っているうえ、音質も大きな差があるわけではありません。
そのため、余程こだわりがなければ「Soundcore Liberty Air 2」を購入したほうが幸せになれそうです。
というか、改めて「Soundcore Liberty Air 2」のコスパの高さが分かりました。